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北陸の新興都市・綾凪市へとやってきた神郷慎と弟・洵。それは、両親を亡くして以来10年ぶりの帰郷だった。若き警察署長である兄・諒との再会を喜ぶ暇もなく、慎は連続発生している猟奇事件に巻き込まれ…。

凪の杜学園高等部へと転入した慎は、クラスメイトの榊葉拓朗、茅野めぐみ、守本叶鳴と出会う。学園や街の若者の間ではある儀式が流行しており、好奇心旺盛な拓朗に誘われた慎は、ついその奇妙な儀式を試してしまう。

仲間たちと共に、またも不可解な猟奇事件の現場に居あわせた慎。それを知った諒は、異様な剣幕で街を出るよう命じる。慎は再会以来の諒の態度に納得できず、離れて暮らす10年の間に生じてしまった溝に悩み始める。

かつて両親の仕事場だった生家のアトリエで、思い出の品を探し当てては慎に見せる洵。日頃の愛想が良いとは言えず、あまのじゃくな弟の態度に戸惑い気味の慎。亡き両親の最後の共著を見つけ、2人は懐かしむが…。

慎は行方不明になっている拓朗の友達だったロック少年・孝司の名前が、諒のパソコンの中にあったリストに載っていたことを思い出す。その夜、慎は奇妙な行動を取り始めた洵と共に海岸のライブハウス跡を訪れる。

綾凪署へやってくるはずだった一日署長が、大雪で空港に足止めされてしまう。署員たちは交通安全イベント開催のため、代役を探して奔走する。折悪く「リバース事件発生」の急報を受け、諒は単身現場へと赴く。

慎と仲間たちは、黒部海岸の温泉旅館へとやってきた。茅野めぐみに誘われて一行に加わったダンス部の先輩・田坂悠美は、稀人（マレビト）に襲われたショックと後遺症から立ち直れず、海へ身を投げようとする。

慎たちのクラスに、山咲まゆりと名乗る転校生が現れた。大人びていて口数少なく、ミステリアスなその美少女は、守本叶鳴と面識があるようだ。しかし、叶鳴は彼女との再会にどことなく気まずそうで…。

綾凪市への帰郷以来、諒への気まずさが日常になったまま鬱々としていた慎を、二階堂映子がドライブに誘う。それは仕事を兼ねたものだったが、小さい頃から憧れていた女性との外出は、慎の心をいっとき晴れさせる。

諒と洵、2人きりとなった神郷家。洵は諒と一緒に行きたい所があるのだが、なかなか言いだせない。そこへ不意に訪ねてきた山咲まゆりと共に、兄弟は奇異にして不可解な休日の午後を過ごすことになる。

学園内でひそかに“影抜きサークル”を結成した生徒たちがいるという情報をキャッチしためぐみは、慎と拓朗を従え、その活動拠点である空き教室に踏み込む。何と、そのサークルの中心人物は叶鳴だった。

洵の検査につき添い病院を訪れた慎は、10年前の事故で死に瀕した洵を救ってくれた脳外科医についての話を聞く。改めて感謝の念と、その奇跡的手腕に興味を抱く慎だったが、その人物はすでに世を去っているという。

摂理に反してペルソナを使役し続けてきた諒に、限界が迫りつつあった。洵の授業参観の日、慎は出席を約束する諒に戸惑いを覚えていた。その頃、マレビトたちは再び綾凪市にリバース事件の惨禍をもたらそうとし…。

映子の突然の訃報に悲しみに暮れる慎は、亡き影と真相を追い求め彷徨い続ける。そして季節は夏へと移り、街では人々の多くが次第に生気を失いつつあった。諒が行方不明となり、慎と洵の生活も一変し…。

諒の失踪とリバース事件の周知を受け、綾凪署へ赴任していた参事官・真田明彦が、慎のもとを訪れる。真田は慎に拓朗、めぐみと共に“ペルソナ使い”として戦うことを求める。真田と諒はひそかに共闘していて…。

拓朗とめぐみは、マレビトたちとの戦いを漠然と予期していたものの彼らと同じように“影抜き”を利用した上、犠牲を防げなかった真田たちに釈然としない。また、2人の胸には不安と拭えぬ不信感があった。

八尾町にあるめぐみの実家で、洵に応急手当を施し夜明けを待つ慎たち。自分だけが臨んだつもりだった危険な場所に近づいて負傷してしまった洵を前に、慎は諒が自分たちを遠ざけようとした気持ちを実感する。

洵は「くじらのはね」を読む赤い髪の少女と出会う。アヤネと名乗るその少女にこれまで抱いたことのない思いが芽生えるのを感じ、洵は惹かれてゆく。慎はその不思議な少女が謎めいた存在であることに気づき…。

不可解な行方不明事件は依然として、富山湾とその沿岸地域において断続的に起きていた。無気力さを深める人々の中には自らも消えたいと願う者たちが現れる。一方、消えた人々の帰還も確認され始めるが…。

真田は富山湾を中心に起きている一連の不可解な事件と事象は、無意識の海より出でるペルソナを人がもてあそび続けたことに対する報いであると推測する。そんな折、慎と洵は2人の時間を過ごし…。

洵を拉致した稀人たちは洵のペルソナを利用し、制御の限界を超えつつある複合ペルソナの安定を図ろうとする。そして慎は、柊社長から諒だけが知っていた両親の過去についての真実を知らされる。

九條稀也は失った愛娘を蘇らせるという一念に衝き動かされていた。すでに彼には思想も理念もなく、それは無意識の海の摂理を脅かす妄執と化している。稀人の潜伏する研究施設を突き止めた真田だったが…。

自身の記憶が造られたものであり、九條によって操られていたことを知った叶鳴。失意のなか、叶鳴は仲間たちに別れを告げてひとり海へ向かう。だが彼女が立っていたのは、慎との思い出が刻まれた場所だった。

十年前のその日、綾凪市沿岸部を中心に同時多発事故が起こり、多くの人々が一瞬で無気力症状態に陥った。爆心地と呼べる場所には、小松原彩音、そして両親とともに神郷諒がいた。彼の腕に抱かれていたのは…。

ペルソナにまつわる数々の事実と、諒が抱えていた真実。知るよしもなかったことを突きつけられた慎は、海辺で膝を抱える。慎の意識に浮かぶのは、当たり前の日常としてそこにあったかも知れない家族の情景だった。

家族の運命をペルソナに翻弄され、自らのペルソナで最愛の女性の命まで奪ってしまった諒は、人の精神をペルソナから解放することを望む。そんな兄の姿に胸を痛めた慎は、想いを剣に変え携えたペルソナを発現させる。